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2022年のドイツ年間ゲーム大賞受賞ゲームについて

これは「箪笥 Advent Calendar 2022」の2日目の記事です。
卓ゲ箪笥 Advent Calendar 2022 - Adventar

2022年のドイツ年間ゲーム大賞の受賞作を全て遊んだので解説をします。

まずドイツ年間ゲーム大賞とは?
ボードゲームの箱に付いている赤いポーンマークがついている作品がありますね。
あれがドイツ年間ゲーム大賞を受賞した作品であることを示すロゴになります。
1979年からある賞で過去には
2018年:アズール
2016年:コードネーム
2009年:ドミニオン
2004年:チケットトゥライド
2001年:カルカソンヌ
1995年:カタンの開拓者たち
といった錚々たるボードゲームが受賞しています。
2011年からエキスパート部門が設立されウィングスパンやイスタンブールが受賞しています。
また2001年から子供向けゲームを扱ったキッズゲーム部門も設立されています。

今年のドイツ年間ゲーム大賞受賞作品
◇キッズゲーム部門:魔法の山
◇エキスパート部門:リビングフォレスト
◇カスカディア

キッズゲーム部門:魔法の山
まずはキッズゲーム部門の魔法の山。
ビー玉を上から転がして駒に当たれば当てたビー玉と同じ色の一つ低い場所に移動できる。下に同じ色が存在しない場合はゴールになる。ビー玉は袋から選び全てのビー玉を使い切ったら袋に戻すため使われる色に偏りはない。

駒には生徒駒と魔女駒が存在し生徒駒が一定数一番下に到着する前に魔女駒が一定数到着すると負けの協力ゲーム。生徒と魔女の配分はゲーム難易度によって調整される。釘読み…ではなくボードの凸凹と各分かれ道の特性を読んで玉を転がす簡単なゲームだが手を離した後の動きに一喜一憂して盛り上がる。ちなみに魔女生徒共に当たらず下まで行くと魔女が一段下に行きゲームオーバーに近づく。

やることはビー玉を選んで6つのどこから転がすだけと少ないがどれに当てたら良いか、魔女に当たって被害が少ないのはどれかと考えることは多い。だが転がり落ちるのはビー玉なので期待通りにはいかないと選択の後に運をいれてワイワイとできるように出来てる。
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エキスパート部門:リビングフォレスト
次はエキスパート部門。
デッキ構築+坊主めくり+拡大再生産をミックスして相手の状況を見て動くインタラクションが強いゲーム。

組み合わされている各要素は珍しいものではないけどデッキ構築のカード獲得の代償として次手番の親が大量得点できてしまう点がインタラクションを生み出しているのは仕組みとして新しい。もちろんデッキの残りを読むや次、その次のアクションを見据えた計画性も必要。

ボードゲームの要素として次になにをするか決めて今の行動を決める計画性が必要になるがこのゲームは計画性で自分にとっての最適行動を全力で突っ走る=森の動物を大量に集めて一気にアクションを強化するのが考えるがそれをやると相手が買ってしまう。そのため行動の最善が自分が得点しなくても相手に得点させないとかなり守備的。ただしカットや妨害行動の様に直接的な攻撃ではない。

人間の心理として”嫉妬”したくない、"復讐"は強すぎて制御できないを理解して作られてて新しい時代のゲームを感じる作品。

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カスカディア
最後に大賞のカスカディア。
今年はノミネート3作品が出た時点でカスカディアで決まりだなの雰囲気すら出た作品。
タイル配置ゲーム。エキスパート部門がリビングフォレストが実験的で新しいの対してカスカディアは完成されて隙のないゲーム。このゲームを語る上で欠かせないのがかわいい猫ちゃんのタイル配置ゲーム「キャリコ」。キャリコはプレイ前「可愛くてタイルの絵柄もきれい」からプレイ後「きっつ!!!」になるほどアートワークに対してゲームが厳しかった。

実はキャリコからカスカディアで違う点は4点
・タイル配置の外枠がなくなりいくらでも広げられるようになった。
・タイルに2要素を固定せずタイル配置後に2要素目を後置きできるようになった。
そのため得点もタイルが広がることを考慮して
・繋がり得点のとにかく大きければよくなった。
・毎回変わる得点目標に連続したタイルを参照しない目標がある。

基本的に自由度を増す方向に変わったため選択肢、特にリカバリーが出来るようになった。キャリコで終盤になるとこの組み合わせのタイルしかダメな場所が3,4か所あると麻雀の地獄待ち×3みたいなことになることが当然だった。そこで引けないと今まで苦心した配置がすべてパーになり得点が0点になるなどキツイとしか言いようがなかった。そのためキャリコでは相手の妨害などしてる余裕がなくとにかく自分の必要なタイルが出てくるように祈る状態だった。

カスカディアでは余裕を作ったことで妨害ができ終盤まで積み重ねた苦労が全てなくなる賽の河原の石積のような苦行もなくなりボードゲームの良さである誰かと一緒に遊んでいる、手が大きくなり点数が増えている育てている感を実感できる完成した作品。

逆にここで完成したのでカスカディアをベースにした作品が出てくるのは間違いないと思う。
現に2022年の「Verdant」はカスカディアベースの作品と言えるものだった。
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by arbolpueblo | 2022-12-02 23:36